×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ただい――」
小学生になったばかりのある日。
学校から帰った僕を迎えたのは、真っ赤に染まる室内と、鉄の臭い。
目の前の惨状と鼻につく臭いに、頭がクラクラする。
「射雲、逃げて!」
聞きなれた声にハッとして目を開けると、部屋の奥に母さんがいた。
そして、母さんの前に、真っ赤な何かがいた。
「父、さん……?」
こちらを向いてニヤリと笑うその何かは、父さんによく似ていた。
でも、父さんじゃない。
父さんだった、もの。
それは母さんに向き直り、腕を振り上げた。
「やめろー!」
僕は何も考えず、それに手を伸ばした。
ただ、母さんを守ろうと、必死だった。
何が起きたのか、わからなかった。
ただ、眩しく不思議な力を感じる光に包まれたことだけ、覚えている。
気付いたときには、従姉の家にいた。
「信じ……したら……」
近くの部屋で話しているのか、母さんの声が断片的に聞こえてくる。
あの光は、何だったのだろう。
あの時感じた力は一体――
「あ、いっくん、気がついたんだ」
「大空、姉ぇ……」
従姉の1人、大空姉ぇに声をかけられ起き上がろうとしたが、力が入らない。
まだ、頭がクラクラしている。
「寝てなきゃダメよ。熱あるんだから」
そう言われ、僕は素直に従うことにした。
翌日、目を覚ました僕に、母さんが言った。
「射雲、今日から、この家に住むことになったからね」
僕たちの、父さんと、母さんと、僕が暮らしていた家はどうなるんだろう。
そう考えているのがわかったのか、母さんが答えをくれた。
「あの家は、もう、ないの」
母さんが、寂しそうに、微笑んだ。
「どうして……」
「火事で、全部、燃えてしまったの」
帰る場所も、思い出も、全部。
産まれたときからそこに住んでいた。
それが、失われた。
悪い奴が、父さんを殺した。
家が火事になったのも、きっと、偶然なんかじゃない。
きっと、悪い奴がやったんだ。
父さんは……?
あの不思議な光に包まれたとき、父さんが倒れたように思う。
そうか。僕が、父さんを殺したんだ。
僕が――
再び、意識を手放した。
その直前、
「ごめんね、射雲……」
母さんが、そう言ったような、気がした。
小学生になったばかりのある日。
学校から帰った僕を迎えたのは、真っ赤に染まる室内と、鉄の臭い。
目の前の惨状と鼻につく臭いに、頭がクラクラする。
「射雲、逃げて!」
聞きなれた声にハッとして目を開けると、部屋の奥に母さんがいた。
そして、母さんの前に、真っ赤な何かがいた。
「父、さん……?」
こちらを向いてニヤリと笑うその何かは、父さんによく似ていた。
でも、父さんじゃない。
父さんだった、もの。
それは母さんに向き直り、腕を振り上げた。
「やめろー!」
僕は何も考えず、それに手を伸ばした。
ただ、母さんを守ろうと、必死だった。
何が起きたのか、わからなかった。
ただ、眩しく不思議な力を感じる光に包まれたことだけ、覚えている。
気付いたときには、従姉の家にいた。
「信じ……したら……」
近くの部屋で話しているのか、母さんの声が断片的に聞こえてくる。
あの光は、何だったのだろう。
あの時感じた力は一体――
「あ、いっくん、気がついたんだ」
「大空、姉ぇ……」
従姉の1人、大空姉ぇに声をかけられ起き上がろうとしたが、力が入らない。
まだ、頭がクラクラしている。
「寝てなきゃダメよ。熱あるんだから」
そう言われ、僕は素直に従うことにした。
翌日、目を覚ました僕に、母さんが言った。
「射雲、今日から、この家に住むことになったからね」
僕たちの、父さんと、母さんと、僕が暮らしていた家はどうなるんだろう。
そう考えているのがわかったのか、母さんが答えをくれた。
「あの家は、もう、ないの」
母さんが、寂しそうに、微笑んだ。
「どうして……」
「火事で、全部、燃えてしまったの」
帰る場所も、思い出も、全部。
産まれたときからそこに住んでいた。
それが、失われた。
悪い奴が、父さんを殺した。
家が火事になったのも、きっと、偶然なんかじゃない。
きっと、悪い奴がやったんだ。
父さんは……?
あの不思議な光に包まれたとき、父さんが倒れたように思う。
そうか。僕が、父さんを殺したんだ。
僕が――
再び、意識を手放した。
その直前、
「ごめんね、射雲……」
母さんが、そう言ったような、気がした。
PR